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試しに②

2009年02月18日

Posted by 中衣谷一田 at 18:09 │Comments( 1 )
これも2ヶ月ほど前にmixiに載せたものを


◎どこへゆく日本経済

 数日前、故郷の町で建設業を営んでいた顔見知りの社長が首を吊った。理由はいろいろあったのだろうが会社の経営難が理由の一つであったことは間違いない。
 現在、アメリカのサブプライムローン問題に端を発し、世界経済が危機的状況に陥っている。大手証券会社が破綻し、アメリカ経済の象徴とも言える自動車メーカー・ビッグスリーが公的資金の投入を要請し場合によっては連邦破産法の申請をもうかがっている。二十世紀から二十一世紀にかけて世界が推し進めた経済のグローバル化の波は今まさしく人的災害となって世界の国々を襲っている。我が日本国も早くよりこのグローバル化に飲み込まれた経済国家だから、今回の世界的経済危機は国や個人の台所を直撃することになる。このままだと、おそらく、十数年前のバブル経済の破綻時とは比べようも無い不況が日本を席巻するだろう。まさしく未曾有(○ソウ○ロウ首相ふうに言うと「みぞゆう」)の大不況である。
 先日発表された中小企業の景況感は過去最悪を記録した。国内自動車産業も190万台の減産。各大手電気産業および精密機械産業の千人規模に及ぶリストラ。2万人近い非正規社員の雇い止め。新卒者の内定取り消し。わずかこの一週間でこれだけのものが出揃った。日本経済界にはバブル不況の経験が一種のトラウマとなっている。現段階では過剰気味に反応している感もないではないが、現在の世界的経済不況があくまでも序章に過ぎないのであれば経営陣の判断としては順当なところであろう。
 テレビや新聞ではそんなニュースが引きもきらず流れているが、じゃあ、実際にどうなんだろうか。俺達は給料ももらえてメシも食えてるじゃないか。そんな声が世の大勢だろう。
 実は、私がこの島に移り住んだ一年前、日経平均株価は1万4千円台だった。現在は7千円台から8千円台をウロチョロとしている。これは単純に解釈すれば資産が半分に減っていることになる。要するに会社の価値が半分になったということだ。バブル崩壊のときもこれと同じことが起きた。あのときは株価は三分の一以下まで下落した。しかしながら当時は円安が同時進行した。円安が続けば輸出関連企業はそう急激に悪くはならない。プラス欧米の景気も悪くなかった。内需が沈んだぶん外需に頼ることができた。しかるに今回は違う。株価の下落と平行して円高が進んだ。欧米の企業が日本企業以上の経営難に陥ったためだ。世界の企業の株価は概ね連動するが(アメリカの市場が上がれば日本市場も上がるというふうに)、当然為替レートはその逆になる。となると景気を浮揚させるには、外需に頼ることができない今、内需拡大を図るしかないということになる。
 ここに昨今の日本政府が取ってきた二つの大きな経済財政政策の流れがある。一つは、現金融財政担当相の与謝野馨を中心とする、消費税増税などによる優先的な財政再建重視論。もう一つは、中川秀直元官房長官などが唱える、経済活性化による税収増によって財政を健全化させるといういわゆる上げ潮論である。で、小泉、安倍、福田内閣で取られてきた財政再建重視路線はこの大不況を前にして路線転換を余儀なくされつつある。当然と言えば当然だ。世界的に経済が緊縮を始めているのに、財政再建に固執し増税などを国民に強いて国内経済を停滞させるなどは愚の骨頂である。増税などの前にやることがいっぱいあるはずだ。そもそも700兆円にも上る国の借金は誰が作ったかということだ。馴れ合いになった政治家と官僚が、国民の血税を湯水のように垂れ流した結果なのだ。夕張市が財政再建団体になって国の管理下に置かれとき、上級官庁の人間が監督者ヅラして庁内に入ってきた映像を見て「毎年30兆円も赤字国債発行して借金ブッこいてるテメエらがどのツラさげて偉そうに管理指導ができるんだよ!」と思った人も少なくあるまい。財政再建おおいに結構。だが、その前に政治家と役人は襟を正せ。公務員の首切りを前提にしない財政再建論はナンセンスである。我々一般労働者は労働基準法により、一部制限期間を除きいつでも解雇できるようになっている。国家公務員と一部を除く地方公務員にはこの労働基準法が適用されないのだ。この後すぐ失業者が過去最大に膨れ上がるのを予想できながら、社会保障費の抑制に執念を燃やす財務省の官僚どもはまさしく人の皮を被ったケダモノである。であるから、まずは国家公務員共済組合法と地方公務員共済組合法の大改正が必要だ。それができない以上、財政再建を論じるべきではない。今この経済状況の中でそれを唱える政治家どもは官僚の犬である。
 それでは、上げ潮論に頼るしかないのだろうか。ことここに至ってはこれもまた空論になりつつある。先日、国土交通省が大手建設会社に対して、発展途上国での建設受注を増やすよう伝えた。インフラ整備がほぼ完了し、財政圧縮のため公共事業の削減を打ち出している国内では建設業就労者を食わせるだけの建設工事が今後見込めないからである。発展途上国はこれからインフラ整備が始まるからそっちで食わせてもらえということらしいが、もしこれを本気で言っているとすれば国交省の官僚部屋はアホの見本市みたいなものだ。仮に日本のゼネコンが労働賃金の安い発展途上国で受注したとすれば、当然労働者は現地の人間を使うしかない。日本から賃金の高い労働者を連れて行くことはできないからだ。物価も日本よりはるかに安いので発注金額ももちろん安いだろうし、加えてこの円高基調である。日本から下請を連れて行けば間違いなく赤字工事なる。建設業は裾野が広いから下請が潤わない限り建設業の景気が良くなることはない。ようするに国内中小企業には何も跳ね返ってこないということだ。むしろ大手ゼネコンに赤字補填をさせられて、また中小企業経営者の自殺者を生むことになる。
 それでも麻生内閣は上げ潮論に舵を切った。現時点ではやむをえないのだろうが、2兆円の定額給付などは国の政策としての末期を露呈しているし、その前にやるべき税金の無駄遣い論議がまるで進んでいない。そして、もっとも大切な、景気浮揚のためになすべき「内需拡大」とはいったい何を意味しているのかということがまったく示されていない。そもそも内需拡大が、今この経済状況の中で可能なのだろうか。結論から言うと不可能だ。内需拡大は国が経済成長を続けるにおいて初めて可能なものであって、ましてや人口減少を起こしている日本では長期的に難しい。政府は新産業の創出および育成に税金を割いて取り組んではいるが、このさき隙間産業みたいなものは生まれても大量の失業者を吸収できるだけの巨大産業が新しく生まれることはないだろう。福祉や医療に産業としての雇用創出を期待する声もあるが、そもそも福祉や医療というものは公に近いものであって、それを資本主義の市場原理に組み込めば再びコムスンのような悲劇を生むことになる。
 ここまでは、分析と批判。批判だけならサルでもできる。
 では、これからの日本はどうすればよいのか?

 と、ここまできましたが、疲れちゃったので、私案はまた今度。




この記事へのコメント
̂Ȃɂ͔ގȂ̂ł傤HϋɐHepHtFHBȎł͂Ȃ̂ł
Posted by ގłȂ at 2011年06月15日 04:47
 
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